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|後編|花澤啓太のデザインと思考〈knot〉

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オリジナリティを探す旅〈knot〉

「言葉」を中心に添えたデザインの次に求めたのは、デザイナーにとって永遠のテーマである「オリジナリティ」だったという。

「オリジナリティ」をどう捉えるか、もっとも議論が分かれるところではあるが、デザインの方法論として、自然淘汰的に残ったアノニマスなデザインを良しとし、オリジナリティを無くすデザインを志向する価値観がある。

〈New pattern〉iF DESIGN AWARD 2018受賞。高部葉子氏との共作
巧みなパターンによって一枚のオーガニックコットンから、端切れを一切出さずにつくられたシャツ。耳の端材すら出さないために遠州のシャトル織機による生地を使用している

「これだけ多くの個人が情報を受発信できるインフラが整い、大量生産モデルも一服感があるいま、ただシンプルで使いやすく、誰がデザインしたのかがわからないようなものでは、これから先必要とされるものづくりの道につながらないと感じています。」

ただ、そういったオリジナリティの試行錯誤をメーカーに押し付けてしまっては無理が生じることがほとんどだ。そうであれば自分でリリースの流通までやるしかないと、半ば強引に〈Timeless Gallery&Store〉というショップも始めた。

〈knot〉のアイテムと「とき」をテーマに、アンティーク・ユーズドからデザイナーの新作をあつかう

「〈knot〉で展開しているアイテムは、クライアントワークを検討している最中に、お題に関係なくひょこっと出てきたアイデアを形にしたものが多いんです。そういったものは思考の延長線上にこぼれ落ちてしまうんですが、すごい気になってしまって、むしろそっちに力を入れたくなってまう自分がいるんです。」

例えば封がくちびるの形をした〈MORE THAN WORDS〉は名古屋の紙業を営んでいる方からのペーパープロダクトの依頼だったが、販路や価格の面でクライアントへ受け入れられなかった。

「アイデアとしてすごく腑に落ちていて、自分はもうノリノリです(笑)。どうしても売り場にこの商品を出してあげたかったので、自ら販売することになりました。」

手紙の内容に応じて表情を描くことで、もう少しだけ気持ちを伝えることができる封筒

逆行するデザイン

「私はデザイナーとして王道なタイプではないんですが、王道に憧れる自分もいます。ただ、そんな自分に見切りをつけて、自分で自分の答えを見つけて進んでいかないと出てこないのが、オリジナリティなのかもしれないと最近は感じています。」

提案する世界観や価値観に、たとえ人数が少なくてもその分深く刺さるような、個としての魅力「オリジナリティー」を求められるデザイナーは生き方として魅力的だ。

花澤さんが追求している「オリジナリティー」はモノであふれた社会の中で、より強い光を放ち、求める人のもとへデザインをしっかりと届けることができるのかもしれない。

〈NEW FOLK ART〉今年制作した〈knot〉の作品集

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